――人と組織、そして信頼について――
今週、11月3日に鰻の成瀬・三ツ境店を閉店しました。
たった7か月の短い期間でしたが、私にとってはとても大きな意味のある時間でした。
悔しさと、反省と、感謝が入り混じった一週間でした。
■「自分の手で立て直したい」という気持ちから始まった挑戦
三ツ境店は、同じく私たちが運営する大和店のすぐ近くにある店舗です。
以前から売上の低迷が気になっていて、視察した際にはQSC(品質・サービス・清潔さ)のレベルにも課題を感じていました。
「このままではいけない。近隣のお客様にこのクオリティで提供するのは自分の納得がいかない」
そう強く思いました。
そんなとき、前オーナーから「店舗を譲渡したい」という相談を受けました。
迷いはありましたが、私は「もう一度ここを蘇らせたい」と決断しました。
以前のスタッフも一度面接をやり直し、再雇用という形で再スタート。
内装を整え、古くなった厨房機器も全て入れ替えました。
「よし、ここからもう一度、地域に愛されるお店をつくろう」
そう気持ちを新たにしたのを、今でも鮮明に覚えています。
■結果が出せず、初めて味わった“雇用を守れない悔しさ”
鰻屋にとって一年で最も忙しいのは「土用の丑の日」。
三ツ境店もその日だけは、昨年を超える売上を記録しました。
スタッフの笑顔を見て、「この努力が報われる日が来るかもしれない」と思いました。
しかし、現実は厳しかった。
その後も売上はなかなか上向かず、損益分岐点を下回る日々が続きました。
そして今回、撤退を決断しました。
2010年に創業してから、初めて「従業員の雇用を守れなかった」という経験をしました。
経営者として、心の底から申し訳ない気持ちでいっぱいです。
そして改めて、「雇用を守る」という言葉の重さを実感しました。
■フランチャイズ運営の難しさを改めて感じる
今回、痛感したのは「フランチャイズの難しさ」です。
私は以前、発毛サロンを運営していたとき、全国100店舗が加盟する協会の理事長を務めていました。
そのときも感じたのが、本部と加盟店の“価値観のずれ”です。
理念がずれると、行動もずれ、結果もずれていきます。
鰻の成瀬も、創業当初の少数精鋭だった頃は本部と店舗が一枚岩でした。
しかし、店舗が増えるにつれ、「本部への期待」と「現場の現実」にギャップが生まれる。
これはどんな組織でも起こることかもしれませんが、
改めて「組織が大きくなることの難しさ」を感じました。
■信頼できるパートナーとは何か
私はこれまでずっと、「共存共栄」という言葉を大切にしてきました。
同じ志を持ち、それぞれの立場で役割を果たし合いながら、お互いを高めていく。
そんな関係こそが理想のパートナーシップだと思っています。
けれど、現実は理想のようにはいきません。
「相手が変わってくれれば」と思うこともあります。
でも、最近はそれが無意味だと感じます。
変わらなければならないのは、いつも自分自身。
そして自分の組織です。
だからこそ、私は「内製化」にこだわります。
他社に頼るよりも、自分たちの手で理想の形をつくりたい。
それは効率のためではなく、信頼を自分たちの力で築くためです。
■強い組織とは「共有」できる組織
強い組織に必要なのは、
価値観の共有。
ルールの共有。
役割の共有。
そして、何よりも「心を通わせる対話」です。
お互いの考えを率直に話し合い、同じ方向を向ける関係をつくる。
そこに信頼が生まれ、チームが強くなる。
この経験を通して、その当たり前の大切さを改めて実感しました。
■経営計画書は、会社の“心臓”である
私たちは、毎朝の朝礼で経営計画書を読み合わせています。
それは単なるマニュアルではなく、会社の“心臓”のような存在です。
理念やルール、目標を全員で共有し、判断の軸をそろえるためのもの。
経営計画書は、組織の中で「共通言語」を持つための仕組みです。
だからこそ、これからもわかりやすく、現場で生きる計画書をつくり続けたいと思っています。
その中で、価値観・ルール・役割の共有をさらに深めていきます。
まだまだ課題は多いです。理想と現実のギャップに悔しい思い、情けない気持ちになることも多々あります。
ただ理想を追わなければ現実はよくなっていきません。
日々成長するために理想を掲げていくことが何よりも重要と自分自身に言い聞かせています。
閉店という結果は、決して簡単な決断ではありませんでした。
でも、この経験から学んだことは大きい。
失敗は、次への糧になる。
それを信じて、私はまた前を向きます。
どんな結果も、誠実に受け止める。
そこからしか、本当の成長は生まれないと思うからです。
レイズ&カンパニー株式会社 代表 杉山巨樹のブログ

- レイズ&カンパニー株式会社 代表取締役
-
レイズ&カンパニー株式会社 代表取締役
2010年3月より妻と2人で藤沢駅南口にエステサロンレイテノール開業。
2014年3月レイズ&カンパニー株式会社設立。発毛サロン開業(発毛協会理事長歴任、現在は廃業)、Youtube編集、ECサイトの運営、足技コルギ開業、鰻の成瀬FC加盟(現在3店舗)、レンタル撮影スタジオの運営など他業種に携わる。座右の銘は「人間万事塞翁が馬」。
最新の投稿
- 2025年11月6日考え方三ツ境店の閉店を決断して感じたこと
- 2025年3月17日業務レイテノールから新しい化粧水発売!こだわり抜いた「レイテノール ミストウォーター」
- 2025年3月15日業務レイテノール15周年パーティーを開催しました
- 2025年3月13日考え方信頼すること、されること – 仕事における信頼関係の大切さ
コメント